2024/04/27
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】インドの総選挙に絡み、人工知能(AI)を用いた精巧な偽画像・動画「ディープフェイク」が問題となっている。著名な俳優が特定の政党を批判するような偽動画が拡散。当局は神経をとがらせている。
「政治家のうたい文句のうそに気付いて」。動画の中でそう呼び掛けているのはボリウッド(インド映画界)のスター、アーミル・カーン氏。同氏は映画「きっと、うまくいく」(2009年)の主演俳優として日本でも知られる。発言は、与党インド人民党(BJP)の過去の公約が果たされていないと示唆する内容だ。
しかし、カーン氏側は「偽動画であり、全くの虚偽」と否定。地元報道によると、過去の出演番組の映像を基にAIで生成した同氏の音声を重ね合わせて作られたとみられる。最初の投票が行われた19日の数日前からSNSで出回った。別の著名俳優が与党を非難する偽動画も出回り、いずれのケースも警察が捜査を始めた。
一方、AIを活用した動画サービスなどを手掛ける地元企業「インディアン・ディープフェイカー」のデベンドラ・シン・ジャドウン代表は、PR会社などを介し与野党から「非倫理的な依頼」が多く届いていると明かす。
同社は有権者一人一人に合わせ、AIで生成した候補者の人工音声で投票を呼び掛ける電話サービスを請け負っている。しかし、対立陣営の候補者が言っていないことをAIを使い言わせるなどの依頼が約半数を占め、断っているという。
選挙管理委員会は投票行動に影響を及ぼしかねない偽情報の氾濫を警戒。ラジブ・クマール選管委員長は3月の記者会見で「事実に基づかない偽のニュース作成は許されない」と述べ、厳正に対処する姿勢を示した。
今年は世界的に重要な選挙が続く「選挙イヤー」。ディープフェイクへの対処は各国で課題となっている。
〔写真説明〕インド映画界のスター、アーミル・カーン氏=1月3日、西部ムンバイ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
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